めまいとは?

めまいとは?【概略】

 めまいと言っても様々ななめまいがあります。頭がふらふらする、見ている景色や天井がぐるぐるまわる、後ろに引っ張られるように感じる、頭から血の気がひくよう、ふわふわするなどいろいろな症状が『めまい』と、表現されることがあります。
 めまいの原因にも色々あり、姿勢のバランスを保つ働きをしている耳の奥の内耳の異常が原因のめまいもあれば、脳梗塞や脳腫瘍など脳からくる危険なめまいもあります。めまいの中にはこのような一刻を争う危険なものもあります。そのような状況の場合にはまず病院(脳神経外科など)での診察をお願いすることがあります。
 多くの場合問題となるのは、初めて生じためまい発作です。とくに年齢が高くなってからの初回の発作というのは要注意で、早めに精密検査を受けたほうがよいと思われます。

危険なめまいのチェック

 めまいが起きると、その症状ばかりに気持ちが行きがちですがそれ以外の症状がないか確認してください。下記の症状が一つでも現れている場合には、すぐに救急車で病院へ行ってください。また、前述したように初めて経験するめまい発作、とりわけ高齢になってからの初めて経験した場合はお早めに病院を受診してください。

めまいとは?【その原因と症状】

 めまいには前述したように様々な原因で発生します。ここでは、上記のチェックリストに該当しないもの、つまり鍼灸治療が有効なめまいの幾つかに関して解説していきます。その前にめまいを理解する上で大切な耳の仕組みを簡単に解説します。

耳の仕組み

 耳の中には三半規管と耳石器があります。
 内耳にある三半規管の内部はリンパ液で満たされています。体(頭)が動くとリンパ液の流れが変わるので、その流れで頭の動きを察知します。三半規管は字の通り3つの半円形の管で構成されています。それらが互いに90度の角度を持っているので、それらを総合して、どの方向へで体が動いているかを捉えることができます。
 耳石器という場所には、炭酸カルシウムの小さな結晶(耳石)がたくさんあります。身体に重力や遠心力が加わると炭酸カルシウムの結晶(耳石)が動き、加速度(身体の動きの速さ)を感じることができます。
 三半規管と耳石器からの感覚情報は前庭神経によって脳にある脳幹という場所へ伝えられます。これらの器官、すなわち三半規管、耳石器、あるいは前庭神経に障害が生じるとめまいが起きます。

良性発作性頭位性めまい

 本来は耳石器の中に固定されている耳石が、老化や女性ホルモンの減少等により、剥がれ落ちて三半規管に入ってしまい発生します。
 剥がれ落ちた耳石が身体の動きに合わせて三半規管内のリンパ液内を動き、かき回す結果、実際の動き以上に回転しているという誤った信号が脳に送られめまいを感じます。
 良性発作性頭位性めまいの特徴は、急に頭を動かした時にめまいが起きることです。
 朝、布団から起き上がるときに発生することが多く見られます。他に寝返りをうった時、靴紐を結ぶときなど下をむいた時、急に振り向いたり、立ち上がったりしたとき等しばらく同じ姿勢でいた後に動く際に発生しやすいです。
 めまいの中で最も頻度が高い疾患で、基本的に難聴や耳鳴りは生じません。
 発作時の典型的な垂直回旋混合性眼振が認められれば確定診断されます。難しい言葉ですが、簡単に書くとめまい発作を起こしている時に目も動いているということです。めまい発作の最中は病院に来られないことも多く、眼振が消失した時期に受診されるので、なかなか確定診断はされません。めまいの専門医ほどこの病名を使わないものだとも言われています。発作時にそばにいる人にお願いして目の動画をとってもらい、病院を受診するのもひとつの手です。


 めまいが発生すると安静にしていなくてはいけないと考えがちです。しかし、このめまいの場合、辛くない範囲で頭を動かすことが有効です。耳石は、炭酸カルシウムが主成分で、リンパ液の中で動かすことで、めまいの原因となっていた耳石は徐々に砕かれ小さくなり、溶けて消滅します。反対にじっとしていると細かくなっていた耳石も重力の関係で沈殿し、そこで再び塊となってしまいます。
 布団の上などに横になり、頭を左右、前後にゆっくりと動かすようにしてください。左右に動かす際は身体ごと寝返りをうっても構いません。最初は一つ一つの動きに数十秒をかけてゆっくりと動かし、次第に少しづつ速めていってください。激しいめまいが治まってからはラジオ体操などをするのも良いです。

メニエール病

 メニエール病という病名の認知度は高く、めまいの代名詞のように使われています。
 難聴、耳鳴り、耳閉感などの耳症状とともに、発作的に強い回転性めまいを生じます。耳鳴りと難聴はめまいと前後して生じることやめまいと同時に始まることもあります。強い発作では吐き気、嘔吐も生じます。耳閉感や、音が響く聴覚過敏になる事もあります。
 めまいは数分から数時間続き、この間日常生活が妨げられます。発作を繰り返すたびに聴力障害が進行することがあり、注意が必要です。
 メニエール病は女性に多く、発症年齢は30歳代後半から40歳代前半にピークを持つ山型です。
 通常は片側のみの障害ですが、時により両側に広がることがあります。メニエール病の詳しい原因はまだわかりませんが、何らかの原因で内耳の内リンパ腔が水腫状になるのが原因ではないかと考えられています。
 精神的・肉体的疲労、ストレス、睡眠不足などの状態の人に起こり易い傾向があるとも言われています。

前庭神経炎

 とても激しいめまいが突然に嘔吐を伴って生じます。食事をすることも、動くこともできないぐらい強いものですが、2、3週間ほどで自然に軽快します。聴力障害は生じません。
 大部分は原因不明ですが、かぜの症状から1、2週間して、とつぜん回転性のめまいで始まることが多く見られます。おもにかぜ症状のあとにおこるので、ウイルスやアレルギー反応が関係しているのではないかと考えられています。

突発性難聴

  聴神経に炎症が起こり、突然強い難聴が生じまず。耳鳴りをともなうことも多く見られますが、めまいは比較的軽いものです。聴力の回復のためには早期よりの治療がとても重要です。早い時点から耳鼻科に加えて鍼灸院も受診することをお勧めします。
 病院での治療結果が思わしくなかったから、それから鍼灸院へ来られるという方が多くいます。他の病気もそうですが突発性難聴ではとりわけ早期治療が大切です。病院での治療が終了し、症状が緩和されない事を確認してから鍼灸治療を試すのではなく、ぜひお早めに鍼灸治療を併用するようにしてください。病院の治療だけで治る方も多くいますが、もし、治らない少ない確率に当たってしまったら長い時間つらい症状を抱えることになってしまいます。
 突発性難聴に関しては、下記のページに詳細を記していますので、参照してください。
突発性難聴とは?原因・症状・治療法

起立性低血圧

  起立性低血圧とは、座った位置から立ち上がったときに最高血圧が20mmHg以上低下するものを言います。起立時に血圧が低下するため立ちくらみが生じ、これをめまいと感じます。急激に血圧が下がると顔が青ざめ、冷や汗が出て倒れてしまう程の時もあります。老人では血圧が少し下がっただけでもめまいをおこしやすくなります。脳への血流が十分保たれないため、 脳貧血を生じ眼の前が真っ暗になるように感じられるのが特徴です。
 本来、立ち上がる際は自律的に脳内の血流を保つために、足の血管が収縮ますが、自律機能が何らかの理由で失調すると発生します。パーキンソン病や多発神経炎、脊髄小脳変性症、薬剤の服用などが原因となっていることもありますので一度病院を受診し、きちんと検査することも必要です。


 これら以外にも、貧血やてんかん、更年期障害、精神疾患等を原因としてめまいを起こすこともあります。
 こうしためまいには、鍼灸治療が効果的ですので病院(耳鼻科や神経内科)での治療だけでなく、早めに鍼灸治療をお試しください。突発性難聴では特に早い段階からの治療が大切です。もう少し様子を見ようと後回しにしたりせず、早めに鍼灸治療を併用してください。
 突発性難聴やメニエールなど各種のめまいや併発している症状には鍼灸治療が効果的です。
 鍼灸治療には様々な流派が有り、鍼灸師毎に鍼灸治療の仕方が全く異なります。当鍼灸院では、東洋医学に基づいた積聚治療という方法で鍼灸治療を施しております。積聚治療は、全身に鍼を接触させて行って治療を進めていきます。突発性難聴であれ他のどんな病気でも全身の調子を整えつつお悩みの症状を治療していきます。めまいがあるからといって耳や頭ばかりに鍼を刺すことはありません。
 積聚治療では、メニエールや突発性難聴などお身体の不調の原因は『冷え』にあると考えています。ここでいう『冷え』という言葉は物理的に冷たいというだけのことではありません。簡単に書くと生命力の低下です。鍼灸治療を施すことにより、身体を芯から温め、冷えを取り、症状をとっていきます。めまいという症状だけを取る一時しのぎの対症療法ではなく、原因から取り除く根本からの治療を行います。
 耳鼻科など病院での治療で改善しなかった時や早くつらい症状から解放されたい時などめまいでお悩みの方は、お早めに鍼灸治療をお試しください。繰り返しになりますが、突発性難聴などは早いうちに治療を開始するほど効果的です。病院での治療結果を見る前から併用されることをお勧めいたします。


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